ドライフラワーの作り方、デザイナー視点で解説。「安っぽさ」をなくす3つの鉄則

ドライフラワーの作り方 おしゃれ

「せっかくドライフラワーを作るなら、お店みたいにおしゃれに仕上げたい…でも、失敗して安っぽく見えたら嫌だな」そう思っていませんか?

こんにちは、フラワーデザイナーのKARENです。元々は私と同じグラフィックデザイナーだったあなたなら、きっと「せっかく作るなら、絶対に安っぽく見せたくない」と感じていますよね。その気持ち、痛いほどわかります。

でも、ご安心ください。実は「安っぽさ」を回避するには、センス以前にいくつかのデザイン的な鉄則があるんです。

この記事では、数々の失敗を乗り越えた私がたどり着いた、不器用さんでもプロ級の仕上がりになる「花選び」「作り方」「飾り方」の全手順を、ロジカルに解説します。

 

なぜ?手作りドライフラワーが「安っぽく」見えてしまう2つの原因

ドライフラワー

本題に入る前に、少しだけ私の失敗談をお話しさせてください。私も昔、お気に入りのバラをドライにしてみたものの、完成したのは色が黒ずんで、花びらが縮こまったものでした。「なんかイメージと違う…」とがっかりした経験があります。

多くの人が手作りドライフラワーで直面する「安っぽさ」の正体は、突き詰めると2つの原因に行き着きます。それは「色の劣化」「形の崩れ」です。

鮮やかな赤色だったバラが、くすんだ茶色になってしまう。ふっくらしていた花びらが、シワシワに縮んでしまう。この2つの現象が、手作り感を強調し、「安っぽさ」という印象に繋がってしまうのです。

重要なのは、この問題があなたのセンスのせいではない、ということです。色の劣化と形の崩れには、科学的な理由がちゃんとあります。そして、その理由を知り、正しい対策を講じれば、誰でもお店のようなクオリティに近づけるのです。

鉄則1: 仕上がりの8割を決める「花材選び」のデザイン思考

ドライフラワー

ドライフラワー作りの成功は、作り始める前の「花材選び」で8割が決まります。グラフィックデザインで言えば、プロジェクトのコンセプトに合わない素材を選んでしまっては、どんなに優れた技術があっても良いものが作れないのと同じです。

デザイナーであるあなたにこそ意識してほしいのが、「完成形から逆算して素材を選ぶ」というデザイン思考です。ドライフラワーの場合、完成形とは「水分が抜けた後の姿」を指します。

この観点から、ドライにしても美しさを保ちやすい花には、以下のような特徴があります。

  1. 線が美しい花: ユーカリやラグラスのように、茎や穂のラインそのものが美しい花材は、乾燥してもその構造的な魅力が失われません。空間にリズムを生み出す、優れたデザイン要素となります。
  2. 色が残りやすい花: スターチスや千日紅のように、もともと花びらがカサカサしていて色素が濃い花は、乾燥による色の変化が少ないです。これらの花は、作品全体の色褪せ感を防ぎ、鮮やかなアクセントとして機能します。

まずは、この「ドライフラワーになっても美しい花」を選ぶこと。それが、「安っぽさ」を回避するための最も確実な第一歩です。

「初心者でも失敗しない花」と「上級者向けの花」のマトリクス図

ドライフラワーの花材選びマップ。作りやすさと仕上がりの印象で分類されており、初心者にはユーカリやスターチスがおすすめされている。

鉄則2: 目的別に使い分ける、2つの基本的な作り方

ドライフラワー

美しい花材を選んだら、次はその魅力を最大限に引き出す「作り方」を選択します。ドライフラワーの作り方にはいくつか種類がありますが、初心者がまず覚えるべきなのは「ハンギング法」「シリカゲル法」の2つです。

この2つの手法は、どちらが優れているというわけではなく、手軽さと仕上がりの美しさがトレードオフの関係にあります。それぞれの特徴を理解し、目的や花材に合わせて使い分けることが重要です。

  • ハンギング法: 麻紐などで花を束ね、逆さまに吊るして自然乾燥させる最もポピュラーな方法です。コストがかからず手軽ですが、乾燥に時間がかかるため、色や形が変化しやすい側面があります。
  • シリカゲル法: お菓子などに入っている乾燥剤(シリカゲル)を密閉容器に敷き詰め、その中に花を埋めて急速に乾燥させる方法です。短時間で水分を抜くため、生花に近い色と形を保ちやすいのが最大の特徴です。

スターチスやユーカリのように、もともと乾燥に強い花材であれば、手軽なハンギング法でも十分に美しく仕上がります。一方で、バラのように花びらが繊細で形を保ちたい花には、シリカゲル法が最適な選択と言えるでしょう。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 迷ったら、同じ花を2本買い、ハンギング法とシリカゲル法の両方で試してみてください。

なぜなら、多くの人は「どの方法が正解か」を探そうとしますが、最も学びが深いのは「方法による仕上がりの違い」を自分の目で確かめることだからです。この小さな実験が、あなたの経験値を一気に引き上げ、作品のクオリティ向上に繋がります。

「ハンギング法」vs「シリカゲル法」徹底比較

項目 ハンギング法 シリカゲル法
手軽さ ◎ とても手軽 △ 少し手間がかかる
色の残り方 ○ ナチュラルな風合いに ◎ 生花の色に近い
形の綺麗さ ○ 自然な形になる ◎ 立体感を保ちやすい
コスト ◎ ほぼゼロ △ シリカゲル代が必要
おすすめの花 スターチス, ユーカリ, ミモザ バラ, ガーベラ, アジサイ

鉄則3: プロは必ず守る。クオリティを左右する「環境」のルール

ドライフラワー

最後に、見落とされがちでありながら、プロが最も気を使うのが「乾燥させる環境」です。どんなに良い花材を選び、最適な方法を実践しても、環境が悪ければすべてが台無しになってしまいます。

「安っぽさゼロ」のドライフラワーを作るために、これだけは守ってほしい環境のルールが3つあります。

  1. 風通しを確保する: 空気の流れがない場所では、花から抜けた水分が滞留し、カビの原因になります。必ず空気が動いている場所に飾りましょう。
  2. 直射日光を避ける: 紫外線は、インクの色を褪色させるのと同じように、花の色素も分解してしまいます。色褪せを防ぐため、直射日光が当たらない日陰や室内が絶対条件です。
  3. 湿気を避ける: ドライフラワーは乾燥しているため、空気中の水分を吸いやすい性質があります。湿度の高いキッチンや洗面所、浴室の近くは避けるのが賢明です。

この3つのルールは、ドライフラワーの品質を決定づける非常に重要な要素です。ぜひ、この点を意識して乾燥場所を選んでみてください。

作った後も楽しい!簡単なスワッグで、お部屋をアトリエに

ドライフラワー

ドライフラワーが完成したら、いよいよお楽しみの飾り付けです。ペルソナの最終ゴールである「おしゃれに飾る」を叶える、最も簡単なアレンジメントが「スワッグ」です。スワッグとは、ドイツ語で「壁飾り」を意味する、花束を逆さにしたような飾りのことです。

ここでは、3本のドライフラワーだけで作れる、基本のスワッグをご紹介します。

  1. 主役を決める: 3本のうち、一番見せたい花を1本選び、少し手前に配置します。
  2. 脇役を添える: 残りの2本を、主役の花の後ろに、少し角度をつけて交差させるように重ねます。
  3. 束ねて完成: 茎が交差した部分を麻紐やリボンで固く結んだら、あっという間に完成です。

まずは難しく考えず、ラフに束ねるだけで、ぐっとおしゃれに見えますよ。完成したスワッグを壁にかければ、あなたのお部屋が素敵なアトリエに変わるはずです。

よくある質問(FAQ)

(文体モード: アドバイザーモード)

Q1: ドライフラワーの寿命はどのくらいですか?

A1: 環境にもよりますが、美しい状態を楽しめるのは半年から1年ほどが目安です。徐々に色が褪せたり、脆くなったりしていきますが、そのアンティークな風合いの変化を楽しむのもドライフラワーの魅力の一つです。

Q2: 防虫対策は必要ですか?

A2: 基本的に、しっかりと乾燥させていれば虫がつく心配は少ないです。もし気になる場合は、市販のハーブを使った防虫剤などを近くに置くと良いでしょう。


まとめ & 行動喚起

「安っぽさゼロ」のドライフラワー作りの鍵は、以下の3つの鉄則に集約されます。

  1. 完成形から逆算した「花選び」
  2. 目的や花材に合わせた「作り方の選択」
  3. プロが必ず守る「環境ルール」

あなたのグラフィックデザイナーとしてのセンスがあれば、これらの鉄則を守るだけで、必ず心から満足できる作品が作れます。失敗を恐れず、まずは一輪から、楽しんでみてください。

今週末、お気に入りの花屋さんで「スターチス」か「ユーカリ」を探してみませんか? その最初の一歩が、あなたのお部屋を素敵なアトリエに変える、素晴らしいきっかけになりますよ。


 

[参考文献リスト]

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