「調理中に孤独を感じる…」「家族の顔を見ながら料理がしたい」そんな想いから、カウンターキッチンへのリフォームを考えていませんか?カウンターキッチン、素敵ですよね。
ただ、多くの方がリフォーム後に「こんなはずじゃなかった」と後悔される点があるのも事実です。
実は、マンションのリフォームでは、憧れのアイランドキッチンよりも「ペニンシュラキッチン」を選んだ方が、費用面でも使い勝手の面でも満足度が高くなるケースがほとんどです。
この記事では、相談実績から見えた、おしゃれなカタログだけでは分からない「マンションリフォームの現実」と、後悔しないための具体的な選択術を、あなたの不安に一つずつお答えしながら解説します。
この記事を読み終える頃には、我が家に最適なキッチンの形と、具体的な予算感が明確になっているはずです。
[著者情報]
この記事を書いた専門家
なかじぃ:リフォーム会社社長です
とうとう本業のネタになりました。マンションリノベーションを15年以上専門とし、特にキッチンやバスなど水回りの設計で豊富な経験を持つ。これまでに担当したリフォーム相談実績は数知れず。施主のライフスタイルに寄り添い、デザイン性だけでなく10年後も満足できる「現実的な最適解」を提案する姿勢が評価を得ている。雑誌「モダンリビング」への寄稿や、リフォーム専門誌でのコラム連載も手掛ける。
なぜ?多くの人が「理想のカウンターキッチン」で失敗してしまう3つの理由
「『こんなはずじゃなかった…』。実は、カウンターキッチンへのリフォーム後に、お客様から最も多く寄せられるご相談の一つが、この言葉です」カウンターキッチンへの期待が大きい分、小さなギャップが大きな不満に繋がってしまうことがあります。でも、ご安心ください。これからお話しする失敗の理由を事前に知っておけば、そのほとんどは避けることができます。
- 理由1: 理想(アイランドキッチン)と現実(マンションの制約)のギャップ
多くの方が、開放的なアイランドキッチンに憧れを抱きます。しかし、マンションには、戸建てにはない特有の制約が存在します。例えば、キッチンの換気扇に繋がる「排気ダクト」の位置は、多くの場合変更が困難です。また、アイランドキッチンを設置するには、四方に十分な通路幅が必要となり、LDK全体の広さが想像以上に求められます。この現実を知らずに計画を進めてしまうと、設計段階で「理想のキッチンが置けない」という事態に直面してしまうのです。 - 理由2: 見落としがちな「使い勝手」の問題
デザインを優先するあまり、日々の使い勝手を見落としてしまうケースも少なくありません。例えば、フルフラットの美しいカウンターは、調理中の油はねや水はねが想像以上にリビング側へ飛び散ります。また、壁付けキッチンにあった吊戸棚がなくなることで、収納量が大幅に減ってしまう問題も、リフォーム後に気づいて後悔されることが多いポイントです。 - 理由3: どんぶり勘定の費用計画
「キッチンリフォーム、総額でいくら?」というご質問は非常によく受けます。しかし、キッチン本体の価格だけで予算を考えてしまうのは危険です。リフォームには、既存キッチンの解体費用、新しいキッチンの設置費用、壁紙や床の張り替えといった内装工事費など、様々な付帯費用が発生します。この全体像を把握せずに計画を進めると、最終的な見積もり額が想定を大きく超えてしまうことになります。
【結論】マンションリフォームなら「ペニンシュラキッチン」が最適解である理由

では、マンションで後悔しないためには、どのようなキッチンを選べば良いのでしょうか。数多くの選択肢がありますが、私が500件以上の相談経験から導き出した結論は、「ペニンシュラキッチン」がマンションリフォームにおける最適解である、ということです。
ペニンシュラキッチンとマンションリフォームの関係性は、「最適解」と言えます。 なぜなら、ペニンシュラキッチンはキッチンの片側が壁に接しているため、アイランドキッチンに比べて省スペースで設置できるからです。これにより、マンションの限られたLDKでも、リビングとの一体感を損なうことなく、快適な動線を確保しやすくなります。
また、壁側にコンロを配置すれば、排気ダクトの位置を大きく変更する必要がなく、リフォーム費用を抑えることにも繋がります。つまり、ペニンシュラキッチンは、多くの方が憧れるアイランドキッチンのような「開放感」と、マンション特有の制約をクリアする「現実的な解決策」を両立できる、非常にバランスの取れた選択肢なのです。
【図解】14畳LDKで比較!アイランドとペニンシュラのレイアウトの違い

後悔しないための3つの重要チェックポイント「腰壁・収納・費用」
ペニンシュラキッチンが最適解であると理解した上で、次に具体的なプランを考える際に後悔しないための、3つの重要なチェックポイントを客観的な視点で解説します。この3点を押さえることが、リフォーム成功の鍵を握ります。
「油はね・生活感」は”腰壁”で解決
フルフラットの開放的なカウンターは魅力的ですが、多くの先輩たちが後悔しているのが「油はね」と「手元の散らかり」の問題です。この腰壁(こしかべ)と油はね・手元の散らかりの関係性は、「対策」として非常に有効です。
腰壁とは、キッチンとダイニングの間に設ける、高さ10〜20cm程度の立ち上がりの壁のことです。この腰壁があるだけで、調理中の油や水がリビング側に飛び散るのを劇的に防ぐことができます。また、手元がリビングから見えにくくなるため、急な来客時でもシンク周りの多少の乱雑さを隠せるという大きなメリットもあります。開放感を少しだけ譲る代わりに、日々の掃除のストレスや「常に片付けなければ」というプレッシャーから解放される、非常に実用的な工夫です。
H3: “背面収納”までがセットでキッチン計画
なぜなら、この点は多くの方が「後で考えよう」と後回しにしがちで、リフォーム後に「今まで使っていた食器棚が入らない」「調理家電を置く場所がない」と慌てるケースが非常に多いからです。壁付けキッチンにあった吊戸棚がなくなる分の収納量を、背面収納で確実に確保するという視点が、あなたの成功の助けになれば幸いです。
背面収納と収納不足の関係性は、「解決策」です。 壁付けキッチンからカウンターキッチンへのリフォームでは、壁面の吊戸棚がなくなるため、収納量が以前より減ってしまうことがよくあります。そのため、キッチン本体の向かい側(背面)に、十分な容量を持つカップボードやカウンター収納を計画することが必須となります。ご自身の持っている食器や調理器具の量を事前にリストアップし、すべてが収まる収納計画を立てましょう。スペースに余裕があれば、食品ストックを保管できる「パントリー」を設けることもおすすめです。
現実的な”費用”を知る
最後に、最も重要な費用についてです。リフォーム費用とキッチン動線の関係性は、「トレードオフ」の関係にあります。 つまり、キッチンの位置を大きく動かして理想の動線を作ろうとすると、水道管やガス管の移設工事が必要となり、費用は高くなる傾向があります。
まずは、ご自身の予算と実現したいことを天秤にかけ、現実的な費用感を掴むことが重要です。以下の表は、マンションでカウンターキッチンへリフォームする際の、一般的な費用目安です。
カウンターキッチンのグレード別リフォーム費用目安
| キッチングレード | キッチン本体価格の目安 | 位置変更なしの場合 (総額) | 位置変更ありの場合 (総額) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ベーシック | 30万~60万円 | 50万~100万円 | 80万~130万円 | 基本的な機能に絞ったシンプルなキッチン。費用を最優先する場合に。 |
| ミドル | 60万~100万円 | 80万~150万円 | 110万~180万円 | 最も選ばれる価格帯。食洗機やデザイン性の高い水栓など、機能が充実。 |
| ハイグレード | 100万円~ | 120万円~ | 150万円~ | 海外製機器や高級素材など、デザインと機能に徹底的にこだわる場合に。 |
※上記はあくまで目安です。解体費、設置費、内装工事費などを含んだ概算費用となります。
よくある質問(FAQ)
最後に、これまでのご説明でカバーしきれなかった、お客様からよくいただく質問にお答えします。
Q. LDKがあまり広くないのですが、カウンターキッチンは設置できますか?
A. はい、可能です。LDKが12畳程度でも、ペニンシュラキッチンを選び、ダイニングテーブル兼用のカウンターにするなどの工夫で、快適な空間を作ることはできます。重要なのは、通路幅を最低でも80〜90cm確保することです。リフォーム会社に相談し、ご自宅に合ったレイアウトを提案してもらうことをお勧めします。
Q. ダイニングテーブルはどんなものを置けばいいですか?
A. カウンターに直接つけて配置できるテーブルを選ぶと、配膳や片付けが楽になり、動線がスムーズになります。キッチンのカウンターと高さを合わせると、作業スペースを拡張して使うこともでき、非常に便利です。
Q. 工事期間はどれくらいかかりますか?
A. キッチンの交換だけであれば、2〜4日程度で完了することが多いです。ただし、キッチンの位置を移動したり、床や壁の内装工事を広範囲に行ったりする場合は、1週間以上かかることもあります。事前の打ち合わせで、必ず工程表を確認しましょう。
まとめ & CTA (行動喚起)
ここまで、マンションでのカウンターキッチンリフォームについて、現実的な視点から解説してきました。
要点をまとめると、成功の秘訣は以下の2つです。
- まず「ペニンシュラキッチン」を第一候補として検討すること。
- 「腰壁」「背面収納」「費用」の3つのポイントで後悔の芽を事前に摘んでおくこと。
正しい知識があれば、リフォームは決して怖いものではありません。この記事で得た知識を武器に、自信を持って、ご家族のための素敵なキッチンづくりへの第一歩を踏み出してください。
その第一歩として、まずはリフォーム会社に相談し、ご自宅の場合の具体的な見積もりとプランをもらうことから始めましょう。その際、1社だけでなく複数社から話を聞くことが、ご自身に合った会社を見つける成功の秘訣です。
[参考文献リスト]
- 【クリナップ】カウンターキッチンの種類とレイアウトの選び方: https://cleanup.jp/select/knowledge/article-002/
- 後悔しないカウンターキッチンの選び方 | スーモカウンター: https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/cknowhow/counterkitchen/
- 人気の対面キッチンの種類と特徴、おしゃれな配置の仕方を紹介 | パナソニック ホームズ: https://homes.panasonic.com/column/50384/
- カウンターキッチンのメリット・デメリットとは?費用や注意点も紹介 | グローバルベース株式会社: https://www.globalbase.jp/myrenojournal/?p=6984
- カウンターキッチンのメリット・デメリットを解説!リフォームの費用目安もご紹介 | 株式会社ガスリビング三重: https://www.gasliving-mie.com/blog/reformcolumn/kitchenct12/


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