「せっかく早起きして海まで来たのに、ガラスのかけらすらない…」
「SNSで見るようなキラキラした宝石は、どこに行けば落ちているの?」
もしあなたが今、そんなふうに肩を落としているなら、少しだけ私の話を聞いてください。実は、シーグラスが見つからないのは、あなたの運が悪いからではありません。ましてや、探すセンスがないわけでもありません。
ただ単に、「場所選び」のボタンを掛け違えているだけなのです。
多くの人が「綺麗な海に行けば、綺麗なシーグラスがある」と誤解しています。しかし、現実はその逆です。シーグラスハンターにとっての合言葉は、「綺麗な砂浜にはない」。
この記事では、Googleマップと潮見表だけを使って、誰でも確実に「お宝海岸」を見つけ出すためのロジックを包み隠さずお伝えします。これを読み終える頃には、あなたは次の週末、ポケット一杯の「海からの宝石」を持ち帰る準備が整っているはずです。
この記事を書いた人
沖縄歴20年の旅人
沖縄大好き、また住居も海辺の近くに。シーグラスを用いた手作り雑貨も楽しむ経営者
なぜ「綺麗な砂浜」では見つからないのか?シーグラスができる仕組み

まず最初に、一番大切な誤解を解いておきましょう。なぜ、ガイドブックに載っているような白くて広い砂浜には、シーグラスが落ちていないのでしょうか?
その答えは、シーグラスが生まれるメカニズムを知れば一発で分かります。
シーグラスの正体は、海に捨てられた瓶などが割れ、長い年月をかけて波に揉まれて角が取れたものです。想像してみてください。洗濯機の中に、ガラスの破片と「水」だけを入れて回しても、ガラスはただ洗われるだけで、角は取れませんよね?
ガラスの角を削り、あの丸くてすりガラス状の風合いにするためには、研磨剤となる「石(砂利)」が必要なのです。
つまり、シーグラスと砂利浜は、切っても切れない「生成条件」の関係にあります。 砂だけのサラサラした海岸では、ガラスを削るための石がないため、シーグラスは育ちません。逆に、小石がゴロゴロしている海岸こそが、ガラスを宝石に変える天然の研磨工場なのです。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 次の週末は、「裸足で歩くと痛そうな海岸」をあえて選んでみてください。
なぜなら、多くの人が見落としがちですが、「歩きやすい綺麗な砂浜」はシーグラスにとっての不毛地帯だからです。私自身、初心者の頃はリゾートのようなビーチばかり探して失敗していましたが、「石のある場所」に狙いを変えた途端、驚くほど拾えるようになりました。この視点の転換が、脱・初心者への第一歩です。
Googleマップで探せ!「お宝海岸」を見分ける3つの条件
「じゃあ、具体的にどこの海に行けばいいの?」
そう思ったあなたに、私が普段やっている「Googleマップを使った穴場探しの手順」を伝授します。家を出る前に勝負の9割は決まっています。スマホを開いて、以下の3つの条件に当てはまる場所を探してみてください。
条件1:航空写真で「灰色」に見える「砂利浜」
先ほどお伝えした通り、シーグラスには研磨剤となる石が必要です。Googleマップを「航空写真モード」に切り替えて、海岸線の色を見てください。
- 白く輝く海岸: 砂浜です。シーグラスは期待薄です。
- 灰色っぽく見える海岸: ここが狙い目の「砂利浜」です。 石や砂利が堆積している証拠です。
条件2:漂着物が溜まる「入り江(ポケットビーチ)」
海流に乗って運ばれてきたシーグラスは、地形が凹んでいる場所に溜まります。海岸線が一直線の場所よりも、「L字型」や「U字型」に陸地が食い込んでいる「入り江」を探しましょう。
Googleマップと入り江は、最強の「探索ツール」と「ターゲット」の関係にあります。地図上で地形の凹みを見つけることが、宝の地図を手に入れることと同義なのです。
条件3:アクセスの悪さ(人が少ない)
悲しい現実ですが、車で横付けできるような便利な海岸は、すでに他の誰かに拾い尽くされている可能性が高いです。少し歩く必要があったり、駐車場から離れていたりする場所ほど、手付かずのお宝が眠っています。

現場での実践テクニック:太陽と「ゴミだまり」を味方につける
場所が決まったら、いよいよ出発です。しかし、現地に着いてからも「探し方」にはコツがあります。ただ漫然と歩くだけでは、石とシーグラスを見分けるのは至難の業です。
1. 「干潮」の前後2時間を狙う
海に行く時間は、「干潮(潮が引いている時間)」に合わせてください。
干潮と探索エリアは、「機会拡大」の関係にあります。満潮時には海に沈んでいるエリアが、干潮時には広く露出します。つまり、探せる場所が物理的に2倍以上に広がるのです。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 出発前に必ず気象庁やアプリの「潮見表(タイドグラフ)」をチェックし、干潮時刻の前後2時間をゴールデンタイムとして計画してください。
なぜなら、潮が満ちている時に行くと、せっかくの砂利浜が波の下に隠れてしまい、何も拾えずに終わるリスクが高いからです。「大潮」の日の干潮なら、さらに遠くまで探せるので最高です。
2. 「満潮ライン」のゴミだまりを目指す
海岸に着いたら、波打ち際だけでなく、砂浜の奥の方を見てください。流木やペットボトルなどのゴミが一列に溜まっているラインがあるはずです。これを専門用語で「漂着帯(ひょうちゃくたい)」と呼びます。
シーグラスと漂着帯は、「存在場所」として密接にリンクしています。 海流は、ゴミと一緒にシーグラスもこのラインまで運びます。一見汚くて近づきがたい「ゴミだまり」こそが、実はシーグラスハンターにとっての宝の山なのです。
3. 太陽を背にして歩く
シーグラスを見つける最大のコツは、「太陽を背にして歩く」ことです。
太陽光が背後から差し込むと、足元のガラスが光を反射して「キラッ」と輝きます。濡れているシーグラスは特に輝きが強いため、石ころの中に混じっていても一瞬で見分けることができます。
持ち帰った後は?宝石に変わる「洗浄・消毒」マニュアル
おめでとうございます!無事にシーグラスを拾うことができましたね。
でも、拾ったばかりのシーグラスは、海の雑菌や汚れが付着しています。お部屋に飾って楽しむために、正しい手順で綺麗にしてあげましょう。
塩素系漂白剤と衛生管理は、シーグラスを安全に楽しむための「解決策」の関係です。以下の手順で処理すれば、臭いも汚れもすっきり落ちます。
シーグラスの洗浄・ツヤ出し手順
- 真水で洗う: 表面の砂や塩分を流水でよく洗い流します。
- 漂白剤につけ置き: バケツに水を張り、キッチンハイターなどの塩素系漂白剤を適量入れます。そこにシーグラスを一晩(6〜8時間)つけ置きします。これで除菌と消臭は完璧です。
- 天日干し: 水でよくすすいだ後、新聞紙などの上でしっかりと乾燥させます。
- ベビーオイルで魔法をかける: 乾くと白っぽくなるのがシーグラスの特徴ですが、「濡れている時のあの輝きが好き」という方は、ベビーオイルを薄く塗ってみてください。透明感が復活し、宝石のような輝きを取り戻します。

よくある質問(FAQ)
最後に、私がガイドをしている中で、初心者の方からよく聞かれる質問にお答えします。
Q: どこの海がおすすめですか?具体的な場所を教えて!
A: お気持ちは分かりますが、特定の場所(点)を知るよりも、「条件(法則)」を知る方がずっと価値があります。
なぜなら、ネットで有名な場所はすでにライバルだらけだからです。今回お伝えした「砂利浜」「入り江」という条件を使って、Googleマップであなただけの秘密の場所を見つけてみてください。それが宝探しの醍醐味ですよ。
Q: 赤やオレンジのシーグラスが見つかりません。
A: 安心してください、それは当然です。
日本シーグラス協会のデータなどによると、赤色は約5,000個に1個、オレンジは約10,000個に1個と言われるほどの「レジェンド級」のレアカラーです。基本は水色、緑、茶色、透明です。もし赤を見つけたら、その日はお祝いしていいレベルの奇跡ですよ!
Q: 貝殻や流木も一緒に拾っていいですか?
A: もちろんです!ただし、中身が入っている(生きている)貝や、ヤドカリが住んでいる貝殻は持ち帰らないように注意しましょう。拾う前に中を覗いて、空っぽであることを確認するのがマナーです。
まとめ:次の週末は「宝の地図」を持って海へ行こう
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
シーグラス探しは、決して運任せのギャンブルではありません。
- Googleマップで「砂利浜」と「入り江」を見つける。
- 潮見表で「干潮」の時間を確認する。
- 現場では「太陽を背」にして「ゴミだまり」を探す。
この3つのロジックさえあれば、あなたはもう「何も見つからなかったらどうしよう」と不安になる必要はありません。
今すぐスマホでGoogleマップを開いてみてください。画面の中にある灰色の入り江が、あなたを待っています。
次の週末、あなたの手のひらに、波と時間が作った世界に一つだけの宝石が輝くことを願っています。
👇 さあ、準備を始めましょう!
気象庁の潮位表で近くの海の干潮時間を調べる
参考文献
- 日本シーグラス協会 – カラーの希少性や定義について参照
- Beach Money (ビーチマネー) – ビーチコーミングの活動と環境保護について参照
- 気象庁 | 潮汐・海面水位のデータ – 潮位表の仕組みとデータについて参照

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