健康診断の結果を見て、「食生活を見直さなきゃ…」と思いつつ、何から手をつければいいか分からない。そんな40代のあなたのためにこの記事を書いています。
結論から言えば、難しい知識は不要です。目標は1日「飽和脂肪酸20g」。この数字だけ意識すれば、あなたの食生活は劇的に改善します。
この記事は、単なる知識の解説ではありません。明日からのランチで、あなたが迷わず健康的な選択をするための具体的な「外食・コンビニ実践ガイド」です。
読み終える頃には、カツ丼を何に置き換えれば良いか、コンビニでどのパンを選ぶべきかが明確に分かります。
「また脂質か…」とうんざりする前に。健康診断の数値が示す、たった一つの重要なこと

文体モード: 当事者モード (共感を呼ぶストーリーテラー)
「先生、ラーメンのスープはやっぱりダメなんですよね?」
栄養相談の場で、私が本当によく受ける質問の一つです。皆さん、健康のためには何かを「我慢しなくてはならない」と思っています。しかし、問題の本質はそこではありません。
健康診断で指摘される「LDLコレステロールが高い」という状態は、専門用語で難しく聞こえますが、例えるなら「血管の壁に少しずつサビが溜まっているイメージ」です。このLDLコレステロールというサビが溜まり続けると、血管は弾力を失って硬くなり、動脈硬化という状態に繋がります。LDLコレステロール値が高い状態が動脈硬化を進行させることは、医学的に明らかになっているリスクです。
この動脈硬化こそが、将来の心筋梗塞や脳梗塞といった、命に関わる病気の引き金になりかねません。
「脅かされているみたいで嫌だな」と感じたかもしれません。でも、ここからが重要なポイントです。この血管のサビは、あなたの普段の食事の工夫で、少しずつ落としていくことができるのです。すべてを我慢するのではなく、サビの原因を知り、賢く対処することから始めましょう。
覚えるのはコレだけ。LDL対策の黄金ルール「飽和脂肪酸1日20g」とは?

では、どうすればLDLコレステロール値を管理できるのか。その鍵を握るのが「飽和脂肪酸」です。
飽和脂肪酸の過剰な摂取が、血液中のLDLコレステロール値を上昇させる主要な原因であることが、数多くの研究で示されています。飽和脂肪酸は、主にお肉の脂身やバター、生クリーム、ラードといった動物性の脂肪や、パーム油などに多く含まれています。
そして、あなたの具体的な目標となるのが「1日の飽和脂肪酸の摂取量を20g以下に抑える」ことです。
この「20g」という数値は、厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準」に基づいています。この基準では、生活習慣病の予防のために、飽和脂肪酸から摂るエネルギーを、1日の総摂取エネルギーの7%以下にすることを推奨しています。活動的な40代男性の平均的な摂取カロリー(約2,600kcal)で計算すると、飽和脂肪酸の量はおおよそ20gが上限となるのです。
この関係性を理解するために、以下の図をご覧ください。
【実践編】明日からできる!外食・コンビニでの「置き換え」テクニック

「1日20g」という目標は分かりましたが、問題は「どうやって実践するか」です。多くの外食やコンビニの食事には、飽和脂肪酸が想定以上に多く含まれているため、意識せずに選ぶと、たった1食で目標量を超えてしまうことも珍しくありません。
ここでは、具体的なメニューを挙げながら、「置き換え」のテクニックを客観的にレポートします。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「減らす」のではなく「置き換える」と考えてください。
なぜなら、この点は多くの方が最初に躓くポイントだからです。「脂質を全部カットする」といった極端な方法は長続きしません。お肉の脂身に多い飽和脂肪酸を、青魚などに含まれる不飽和脂肪酸に置き換えるという発想の転換が、無理なく続けるための最大のコツです。不飽和脂肪酸は、むしろLDLコレステロールを下げる働きが期待できる、あなたの味方なのです。
ランチメニューの「置き換え」比較
| よくある選択(NG例) | 飽和脂肪酸(目安) | おすすめの選択(OK例) | 飽和脂肪酸(目安) | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| カツ丼 | 約 25 g | 刺身定食 | 約 3 g | 「揚げる」から「生・焼く」へ |
| 豚の生姜焼き定食(バラ肉) | 約 22 g | 鶏の照り焼き定食(もも肉・皮なし) | 約 8 g | 肉は「脂身の少ない部位」を選ぶ |
| カルボナーラ | 約 30 g | ボンゴレ・ビアンコ | 約 7 g | 生クリーム・チーズを避ける |
| カレーライス(ビーフ) | 約 20 g | 海鮮あんかけご飯 | 約 6 g | ルーに溶け込んだ脂肪に注意 |
コンビニ編:パンと弁当の選び方
コンビニは手軽ですが、飽和脂肪酸の罠が多く潜んでいます。特に菓子パンや総菜パンは要注意です。
- パンの置き換え:
- NG: メロンパン(約15g)、カレーパン(約12g)、デニッシュ(約18g)
- OK: おにぎり(約0.5g)、全粒粉のサンドイッチ(ツナや卵)(約5g)、ブランパン(約2g)
- 弁当の置き換え:
- NG: 幕の内弁当(揚げ物中心)、ハンバーグ弁当
- OK: 焼き魚弁当、ネバネバ丼(納豆・オクラ)、蒸し鶏のサラダ
よくある質問(FAQ)
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Q. 不飽和脂肪酸なら、いくら摂ってもいいの?
A. いいえ、そういう訳ではありません。体に良いとされる不飽和脂肪酸も、脂質であることに変わりはなく、カロリーが高いです。摂りすぎは肥満の原因になります。あくまで「飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換える」というバランスが大切です。
Q. お酒はやっぱりやめた方がいい?
A. アルコール自体が直接的にLDLコレステロールを上げるわけではありません。しかし、注意したいのは一緒に食べる「おつまみ」です。唐揚げやポテトフライ、もつ煮込みなどは飽和脂肪酸が多くなりがちです。お酒を飲む際は、枝豆や冷奴、焼き鳥(塩)、お刺身などを選ぶと良いでしょう。
Q. 成果はどれくらいで出る?
A. 体質や今までの食生活によって個人差はありますが、意識して食生活を改善すれば、2〜3ヶ月後の血液検査で数値の変化を実感される方が多いです。大切なのは、一喜一憂せずに、無理のない範囲で継続することです。
まとめ:あなたの次の健康診断を、最高の結果で迎えよう
いかがでしたか?LDLコレステロール対策は「あれもダメ、これもダメ」という厳しい「ガマン」ではありません。賢い「置き換え」のゲームだと考えてみてください。
改めて、大切なポイントを振り返ります。
- あなたの目標は「飽和脂肪酸を1日20g以下」にすること。
- お肉の脂身やバター、生クリームを減らし、代わりに青魚やオリーブオイルを選ぶ。
- 外食では「揚げ物」より「焼き物・蒸し物」、「バラ肉」より「赤身肉・鶏肉」を選ぶ。
完璧でなくて大丈夫です。まずは週に2〜3日から、この記事で紹介した「置き換え」を試してみてください。その小さな一歩が、数ヶ月後のあなたの健康診断の結果を、そして10年後、20年後のあなたの未来を、大きく変える力を持っています。
まずは第一歩として、今日の夕食で「揚げ物」を「焼き魚」に置き換えてみませんか?
[参考文献リスト]
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
- 国立循環器病研究センター 栄養に関する情報「コレステロールを下げる食事」
- 農林水産省「すぐにわかるトランス脂肪酸」

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