サラリーマンNしまの毎日レシピ 作者 なかじ
サラリーマン時代にヤフーブログで上位をしめたNしまがお送りします!
「初めてのおせち作り、数の子の塩抜きで失敗したくない…」そのお気持ち、とてもよく分かります。
でも、ご安心ください。実は「真水ではなく、少し塩を混ぜた水を使う」だけで、誰でもプロの味に仕上げることができるんです。
数の子の塩抜き、難しそうに感じますよね。私も若い頃は、親方に言われるがまま、ただ時間を計っていました。でも、なぜ『呼び塩』というひと手間が大切なのか、その『理由』を知ってから、一度も失敗しなくなったんです。これから、そのプロのコツを、あなただけにそっとお教えしますね。
この記事では、単なる手順だけでなく、なぜその方法がベストなのかという科学的な理由から、万が一の失敗リカバリー法まで、料理人歴25年の私が徹底解説します。
読み終える頃には、塩抜きへの不安が自信に変わり、ご家族を「美味しい!」と唸らせる一品が完成しますよ。
なぜ? 数の子の塩抜きで初心者がやりがちな「失敗」の原因

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 焦って真水に長時間つけてしまうのが、最も多い失敗パターンです。
なぜなら、この方法は数の子の旨味まで水に逃がしてしまい、食感も悪くなる原因だからです。お店でも「塩辛いままだった」「水っぽくて味がしない」というご相談を本当によく受けます。この最初のポイントを知るだけで、成功確率がぐっと上がります。
さて、具体的な手順に入る前に、少しだけ失敗の原因についてお話しさせてください。これを理解するだけで、作業中の迷いがなくなりますからね。
多くの方がやってしまいがちなのが、塩を早く抜きたい一心で、塩数の子をいきなりたっぷりの真水に長時間浸してしまうことです。
この方法では、数の子の表面の塩だけが急激に抜けてしまい、中心部は塩辛いままという「味ムラ」ができてしまいます。さらに悪いことに、数の子本来の旨味成分まで水の中に流れ出てしまい、結果として「味のない、水っぽい数の子」が出来上がってしまうのです。
せっかくの高級食材ですから、それではあまりにもったいないですよね。
失敗しない秘訣は「呼び塩」にあり!プロが実践する科学的な理由
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 塩抜きには、必ず水1リットルあたり小さじ1杯の塩を溶かした「塩水」を使ってください。
なぜなら、この「呼び塩」という方法は、塩抜きという作業を成功させるための最も効果的な方法だからです。若い頃はこの理由を知らずに実践していましたが、科学的根拠を知ることで、どんな大きさの数の子でも安定して完璧な塩抜きができるようになりました。
では、どうすれば旨味を逃さず、均一に塩抜きができるのでしょうか。その答えが、私たちプロが必ず実践する「呼び塩(よびじお)」という技法です。
呼び塩とは、真水ではなく、薄い塩水を使って塩抜きをすること。一見、不思議に思うかもしれませんね。「塩を抜きたいのに、なぜ塩水に入れるの?」と。
この呼び塩がうまくいくのには、「浸透圧(しんとうあつ)」という科学的な理由が関係しています。浸透圧とは、濃度の違う液体が隣り合うと、濃度の低い方から高い方へ水分が移動し、均一になろうとする力のことです。
- 真水の場合: 数の子(塩分濃度が高い)と真水(塩分濃度が低い)の濃度差が激しすぎるため、水分が急激に数の子に入り込み、細胞を壊して旨味を流出させてしまいます。
- 呼び塩の場合: 薄い塩水を使うことで、数の子との濃度差が緩やかになります。これにより、数の子の中から塩分だけがゆっくりと、優しく外に出ていくのです。
ちょうど、野菜を塩もみすると水分が出てしんなりするのと同じ原理ですね。この浸透圧の働きを上手に利用することが、美味しい塩抜きへの一番の近道なのです。
【完全ガイド】写真でわかる!数の子塩抜きの4ステップと薄皮の剥き方

お待たせしました。それでは、具体的な手順を解説していきますね。写真を見ながら、ご自身のペースで進めてください。
数の子塩抜き 準備と手順のチェックリスト
| カテゴリ | 項目 | 詳細 |
|---|---|---|
| 用意するもの | 塩数の子 | 200g〜300g程度 |
| 水 | 2〜3リットル | |
| 塩 | 小さじ2〜3杯 | |
| ボウルまたは容器 | 数の子がしっかり浸かる大きさのもの | |
| 所要時間 | 合計 約12〜16時間 | (ほとんどが放置時間です) |
| ① 塩水作り | 1分 | |
| ② 1回目の浸水 | 3〜4時間 | |
| ③ 2回目以降の浸水と味見 | 9〜12時間 | |
| ④ 薄皮を剥く | 5〜10分 | |
| チェックポイント | 最終的な塩加減 | 「ほんのり塩味が残るくらい」がベスト |
ステップ①:呼び塩用の「塩水」を作る
[ここにボウルに水を入れ、塩を溶かしている様子の写真を挿入]
まずは基本となる塩水を作ります。分量は水1リットルに対して、塩小さじ1杯(約5g)と覚えてください。これが約0.5%の塩水で、呼び塩に最適な濃度です。ボウルの中で塩をしっかりと溶かしましょう。
ステップ②:1回目の浸水(3〜4時間)
[ここに塩水に数の子を浸し始めた様子の写真を挿入]
作った塩水に、塩数の子を優しく浸します。そして、冷蔵庫に入れて3〜4時間待ちましょう。最初のこの工程で、表面の余分な塩分が抜けていきます。
ステップ③:水を交換し、さらに浸水と味見(合計9〜12時間)
[ここに新しい塩水に交換している様子の写真を挿入]
3〜4時間経ったら、一度塩水を捨ててください。そして、ステップ①と同じ手順で新しい塩水を作り、再度数の子を浸します。
ここからが少し長丁場です。
- 2回目: 新しい塩水で、さらに3〜4時間。
- 3回目: もう一度新しい塩水に交換し、今度は6〜8時間浸します。
合計時間が12時間を超えたあたりで、いよいよ味見です。数の子の端を少しだけ手でちぎって、食べてみてください。「ほんのり塩味が残るくらい」になっていれば、塩抜きは完璧に完了です。この後の味付けで塩分が加わるため、この段階で完全に塩を抜いてしまわないのがプロのコツです。
ステップ④:薄皮を剥く
[ここに水の中で薄皮を指で剥いている様子の写真を挿入]
塩抜きが完了した数の子には、表面に薄い皮がついています。この薄皮は、塩数の子の構成要素の一つで、食感を損なう原因になるため、丁寧に取り除きましょう。
最後の塩水に浸かっている状態で、水の中で作業するのがおすすめです。指の腹を使って、端から優しくなでるようにすると、つるんと綺麗に剥がせますよ。
万が一の時も安心!「苦い」「しょっぱい」を解決するリカバリー術
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: もし失敗しても、絶対に捨てないでください。ほとんどの場合、リカバリーできます。
なぜなら、料理の失敗には必ず原因があり、その原因に合わせた対処法が存在するからです。「苦くなってしまった」という相談は特に多いですが、これは塩を抜きすぎたサイン。このサインを見逃さず、正しく対処すれば、また美味しい状態に戻すことができるのです。
どんなに気をつけていても、初めての作業では予期せぬことが起こるかもしれません。でも、大丈夫。もし「あれ?」と思っても、以下の方法を試してみてください。
ケース1:「塩を抜きすぎて、なんだか苦い…」
これは、不適切な塩抜きが原因で「苦味」という失敗の結果を招いてしまった状態です。数の子の細胞から塩分が抜けすぎると、細胞が壊れて苦味成分が出てしまうことがあります。
そんな時は、焦らずに「今まで使っていた呼び塩の塩水よりも、少しだけ塩を濃くした塩水」を新しく作り、そこに1〜2時間浸してみてください。抜けてしまった塩分を補うことで、苦味が和らぎます。
ケース2:「味見をしたら、まだ少ししょっぱい…」
これは単純に塩抜き時間が足りなかったか、数の子が特に大きかった可能性があります。
この場合は、無理にもう一度塩抜きをする必要はありません。この後の味付けで使う「だし汁」の醤油や塩を少し控えめにすることで、全体の味のバランスを調整できます。だし汁に少し長めに漬け込むのも有効な方法です。
絶品に仕上がる!塩抜き数の子の黄金比・味付けレシピ

完璧な塩抜きは、美味しい味付けをするための最も重要な前提条件です。ここまでくれば、もう成功は目前ですよ。
せっかくですので、私の店でも基本にしている、上品な白だし漬けのレシピをご紹介します。
[ここに完成した味付け数の子の美しい盛り付け写真を挿入]
【材料】
- 塩抜きした数の子:200g
- だし汁:200ml
- 薄口醤油:大さじ1
- みりん:大さじ1
- お好みで: 追い鰹用のかつお節
【作り方】
- 鍋にだし汁、薄口醤油、みりんを入れて一度煮立たせ、アルコールを飛ばします(これを「煮切り」と言います)。
- 煮切った調味液を、ボウルに移して完全に冷まします。
- 完全に冷めた調味液に、塩抜きして薄皮を剥いた数の子を浸します。
- お好みでかつお節をひとつまみ加えると、風味が格段に上がります。
- 冷蔵庫で半日(約12時間)ほど味をなじませたら、完成です。
まとめ
最後に、数の子塩抜きの成功の鍵をもう一度確認しましょう。
- 必ず「呼び塩」を使うこと: 旨味を逃さず、均一に塩を抜くためのプロの知恵です。
- 時間を守り、最後に必ず「味見」をすること: あなたの舌が、最高の完成タイマーです。
- 失敗を恐れないこと: もしもの時も、ちゃんと美味しい状態に戻す方法があります。
理由が分かれば、もう怖いことはありません。この記事が、あなたの初めてのおせち作りを「確実な成功」に変えるお手伝いができたなら、料理人としてこれほど嬉しいことはありません。
自信を持って、あなただけの美味しい数の子を完成させてください。きっと、ご家族の笑顔が見られますよ。
さあ、まずはキッチンタイマーをセットして、最初の塩水を作るところから始めてみましょう!
【参考文献リスト】
- 株式会社やまか「塩数の子の塩抜き方法」
- クラシル「数の子の塩抜き 作り方・レシピ」

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