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サラリーマン時代は新入社員を指導してきた、若手、中堅にかかわらず育成のプロフェッショナル。自身の新人時代の失敗経験を基にした、具体的で共感性の高いビジネスマナー研修が人気を博す。
こんにちは、人材開発部の鈴木です。新人の頃、私も感謝を伝えるメールの文面に30分も悩んだ経験があります。「ありがとうございます」だけでは、何だか素っ気ない気がしますよね。その気持ち、とてもよく分かります。
取引先へのメール、文末の感謝の言葉が「いつもお世話になっております。ありがとうございます。」ばかりで、本当にこれで良いのかな…?と不安になっていませんか?
実は、感謝の気持ちは「具体的な理由」と「クッション言葉」を添えるだけで、驚くほど的確に伝わります。
この記事は、単なる文例集ではありません。あなたが「なぜこの表現が適切なのか」を理解し、自信を持って送信ボタンを押せるようになるための「お守り帳」です。
この記事を読み終える頃には、相手と状況に応じた感謝のフレーズを自在に使いこなせるようになり、あなたのビジネスコミュニケーションは一段階レベルアップしているはずです。
なぜ私たちは「感謝の言葉」でこんなに悩んでしまうのか

私が新人研修で最もよく受ける質問の一つが、「『ありがとうございます』ばかり使ってしまいますが、大丈夫でしょうか?」というものです。あなたも、同じように感じたことはありませんか?この悩みの背景には、大きく二つの理由があります。
一つは、語彙の引き出しがまだ少ないこと。これは社会人経験を積む中で自然と増えていくので、今は全く心配いりません。
もう一つ、より本質的な理由は、ビジネスメールが表情の見えないコミュニケーションだからです。対面であれば、笑顔や声のトーンで感謝の気持ちを補うことができます。しかし、文字だけのメールでは、言葉選び一つがあなたの印象を大きく左右します。
「気持ちが伝わっているか不安」「語彙が少ないと思われたくない」と感じるのは、相手を尊重し、丁寧な仕事をしたいという気持ちの表れです。その気持ちこそが、ビジネスパーソンとして最も大切なものなのです。
印象が劇的に変わる!感謝を伝える「3つの基本原則」

小手先のフレーズを覚える前に、まず感謝を伝える上での最も重要な「考え方」を3つ押さえましょう。この原則を理解すれば、どんな場面でも応用が効くようになります。
原則1:感謝に「具体的な理由」を添える
ただ「ありがとうございます」と伝えるのではなく、「何に対して」感謝しているのかを具体的に示しましょう。
- NG例: 先日はありがとうございました。
- OK例: 先日は、急なご依頼にもかかわらず迅速にご対応いただき、誠にありがとうございました。
このように理由を添えるだけで、感謝の気持ちがより深く、そして誠実に伝わります。
原則2:「クッション言葉」を味方につける
ビジネスメールという文字だけのコミュニケーションにおいて、クッション言葉は文章の印象を和らげる重要なパーツです。感謝の言葉の前に添えるだけで、相手への配慮を示すことができます。
- NG例: ご確認いただきありがとうございます。
- OK例: お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただきありがとうございます。
「恐れ入りますが」「お手数ですが」といった一言が、あなたの丁寧な人柄を伝えてくれます。
原則3:相手を主語にして感謝を伝える
自分が「助かった」という気持ちだけでなく、相手の「行動」に焦点を当てて感謝を伝えることで、より深い敬意を示すことができます。
- 普通: ご教示いただき、大変助かりました。
- 丁寧: 〇〇様にご教示いただけたおかげで、無事に資料を完成させることができました。
相手の貢献を具体的に称賛することで、相手は「自分の仕事が役に立った」と感じ、より良い関係性を築くことができます。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「正しい敬語」を使うこと以上に、「相手への配慮」を言葉に乗せることを意識してください。
なぜなら、かつての私は「正しい敬語」を教えることだけが重要だと考えていました。しかし、多くのビジネスパーソンを見てきた今、本当に仕事が円滑な人は、言葉の背景にある「相手への配慮」を伝えるのが上手な人だと気づいたのです。この知見が、あなたの成功の助けになれば幸いです。
感謝を伝える3つの基本原則

【相手・シーン別】今すぐ使える!感謝の言葉フレーズ集

ここからは、具体的な相手とシーンに応じたフレーズを紹介します。敬語は、上司や取引先といった目上の相手に対して正しく使うべきものです。相手との関係性を意識して使い分けましょう。
対:上司・先輩
身近な存在だからこそ、丁寧な言葉遣いがあなたの評価に繋がります。
| シーン | NG例(学生言葉・不適切) | OK例(コピーして使える) |
|---|---|---|
| 指示を受けた時 | 了解しました。 | 承知いたしました。 |
| 教えてもらった時 | 参考になります。 | 大変勉強になります。 |
| 手伝ってもらった時 | すみません、助かります。 | ご多忙の折、お力添えいただき感謝申し上げます。 |
| 労ってもらった時 | ご苦労様です。 | 本日もご指導いただき、ありがとうございました。 |
対:同僚
親しい中にも礼儀は必要です。お互いが気持ちよく仕事をするための言葉を選びましょう。
| シーン | ちょっと素っ気ない例 | OK例(コピーして使える) |
|---|---|---|
| 資料を確認してもらった時 | 見てくれてありがとう。 | 資料のレビュー、本当に助かりました。ありがとう! |
| 代わりに電話対応してもらった時 | サンキューです。 | 先ほどの電話対応、ありがとうございました。おかげで助かりました。 |
| 仕事の相談に乗ってもらった時 | なるほど、わかった。 | 相談に乗ってくれてありがとう。〇〇さんの意見、すごく参考になったよ。 |
対:取引先(社外)
社外の相手には、最大限の敬意を払った言葉遣いが求められます。会社の代表としての意識を持ちましょう。
取引先への感謝の言葉 使い分けマトリクス
| 依頼・質問する時 | お礼を伝える時 | お詫びに添える時 | |
|---|---|---|---|
| メールの冒頭 | いつも大変お世話になっております。 | 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 | 平素は大変お世話になっております。 |
| 本題 | 恐れ入りますが、〇〇の件についてご教示いただけますでしょうか。 | この度は〇〇につきまして、多大なるご尽力を賜り、心より感謝申し上げます。 | この度は私どもの不手際により、多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。 |
| メールの結び | ご多忙中とは存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。 | 今後とも変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。 | 今後このようなことのないよう、細心の注意を払う所存でございます。 |
感謝の言葉に関するQ&A
最後に、よくある質問について簡潔にお答えします。
Q1. 英語で感謝を伝える時の丁寧な表現は?
A1. “Thank you very much for your prompt reply.”(迅速なご返信ありがとうございます)のように、”for” の後に感謝の理由を具体的に加えるのが一般的です。”I really appreciate your help.”(ご協力に心から感謝します)もよく使われます。
Q2. Slackなどのチャットツールでも、メールと同じくらい丁寧にすべき?
A2. 社内の文化にもよりますが、基本的な丁寧さは保つべきです。ただし、メールほどの堅苦しい定型文は不要な場合が多いでしょう。「承知いたしました。」を「承知しました。」にするなど、少し簡潔にしても問題ありません。相手が上司や先輩の場合は、「〇〇さん、ご確認ありがとうございます!」のように、絵文字を一つ添えると柔らかい印象になります。
まとめ:自信を持って、感謝の気持ちを伝えよう
この記事では、新社会人のあなたがビジネスメールで感謝を伝えるための「3つの基本原則」と、具体的なフレーズを紹介しました。
- 原則1:感謝に「具体的な理由」を添える
- 原則2:「クッション言葉」を味方につける
- 原則3:相手を主語にして感謝を伝える
完璧な言葉を探すことよりも、まずは感謝の気持ちを伝えようとすることが最も大切です。今日学んだフレーズを一つでも使って、自信を持ってメールを送ってみてください。あなたのその一言が、職場の人間関係を円滑にし、あなた自身の評価を高めることに繋がります。
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[参考文献リスト]
- 「ありがとう」の気持ちが伝わる!感謝の言葉の言い換え、ビジネスで使えるお礼のフレーズ集|Precious.jp(プレシャス), (https://precious.jp/articles/-/36604)
- 「感謝申し上げます」は正しい敬語? 意味や使い方、言い換え表現・返答も紹介【メール例文つき】 | マイナビニュース, (https://news.mynavi.jp/article/20231027-2803859/)
- 「承知いたしました」と「かしこまりました」の違いとは?|エン転職, (https://employment.en-japan.com/tenshoku-daijiten/11089/)


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