ダージーパイは白玉粉で再現!ザクザク食感&顔サイズを作る裏ワザ

台湾夜市のあの巨大な唐揚げ、無性に食べたくなりませんか?
顔よりも大きなサイズにかぶりつくと、口いっぱいに広がるスパイシーな香りと、ガリガリッとしたクリスピーな食感。
でも、家で作ろうとして「ただの平たい唐揚げ」になってしまい、がっかりした経験がある方も多いのではないでしょうか。

実は、スーパーにある「白玉粉」を使うだけで、あのガリガリ・ザクザク食感は完璧に再現できます。
専用の粉をわざわざ通販で買う必要はありません。
鶏むね肉1枚で顔サイズを作る「叩き」のコツから、香りを爆発させる「追いスパイス」まで、失敗知らずの決定版レシピを公開します。

台湾ダージーパイ


この記事を書いた人

台湾グルメ研究家・なかじ
台湾渡航歴20回以上。台湾のグルメも余すことなく紹介します。今回は、今話題のダージーパイです!

なぜ普通の唐揚げ粉では「あのザクザク感」が出ないのか?

台湾ダージーパイ

「レシピ通りに作ったはずなのに、なんか違う…」
私もかつて、何度も首をかしげました。
日本の唐揚げ粉や片栗粉を使っても、どうしてもあの台湾夜市で食べた「ダージーパイ(大鶏排)」特有の、口の中が痛くなるほどのザクザク感が出ないのです。

その原因は、私の腕が悪かったからではありませんでした。
根本的な原因は、「粉の粒子の大きさ」にあったのです。

まず、台湾の唐揚げには大きく分けて二種類あります。
一口サイズの「塩酥鶏(イエンスージー)」と、巨大な一枚肉の「ダージーパイ」です。
ダージーパイは、ジーパイ(鶏排)の中でも特にサイズが大きいものを指し、その最大の特徴はサイズと独特の衣の食感にあります。

現地では、この衣に「地瓜粉(さつまいも粉)」という粉を使います。
この地瓜粉は、日本のスーパーで売られている片栗粉(じゃがいも澱粉)とは全く別物です。
片栗粉がサラサラとした微粒子であるのに対し、地瓜粉は粒が粗く、まるで小さなあられのような形状をしています。

私が失敗し続けていた理由は、この「地瓜粉」特有の粗い粒子が作り出す食感を、粒子の細かい「片栗粉」だけで再現しようとしていたからでした。
片栗粉だけでは、どうしても衣が薄く上品になりすぎてしまい、あのワイルドなガリガリ感は生まれないのです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: ダージーパイ作りにおいて、片栗粉単体での再現は諦めてください。

なぜなら、多くの人が見落としがちですが、食感の正体は「粉の成分」ではなく「粉の粒度(粒の大きさ)」にあるからです。私はこれに気づくまで3年かかりましたが、粒度さえ似せれば、身近な材料で驚くほど簡単に解決できます。

秘密は「砕いた白玉粉」!スーパーの材料で本場を再現する科学

では、日本で手に入る食材の中で、本場の「地瓜粉」に最も近い粒子の構造を持っているものは何でしょうか?
答えは、お汁粉や団子に使われる「白玉粉」です。

「えっ、白玉粉? もちもちになっちゃうんじゃない?」と思われたかもしれません。
確かに白玉粉はもち米から作られますが、乾燥した状態の白玉粉をよく見てみてください。
ゴツゴツとした岩のような塊ですよね。
この白玉粉の硬い塊こそが、揚げた時にカリカリ・ザクザクとした食感を生み出す「地瓜粉」の完璧な代用品となるのです。

ただし、そのままでは粒が大きすぎます。
ここで重要なのが、白玉粉を「あえて粗く砕く」という工程です。
粉々にしすぎず、少し粒を残すように砕くことで、地瓜粉の粒度を人工的に再現します。

さらに、白玉粉だけでは粘りが強すぎるため、片栗粉と1:1の割合で混ぜ合わせます。
こうすることで、白玉粉が「ザクザクとした食感の核」となり、片栗粉が「全体をまとめる衣」となる、最強のハイブリッド衣が完成します。

失敗知らず!顔サイズ「ダージーパイ」完全再現レシピ

台湾ダージーパイ

理屈がわかったところで、いよいよ実践です。
スーパーで買える材料だけで、驚くほど本格的なダージーパイを作っていきましょう。
特に重要なのは、「鶏むね肉の処理」「衣のなじませ」です。

材料(1枚分)

  • 鶏むね肉: 1枚(300g程度)
  • 【A】下味
    • 醤油: 大さじ2
    • 酒: 大さじ1
    • 砂糖: 大さじ1
    • おろしニンニク: 小さじ1
    • おろし生姜: 小さじ1
    • 五香粉(ウーシャンフェン): 小さじ1/2
  • 【B】バッター液
    • 卵: 1/2個
    • 小麦粉: 大さじ2
    • 水: 大さじ1
  • 【C】特製ザクザク衣
    • 白玉粉: 30g
    • 片栗粉: 30g

手順1:鶏むね肉を「親の仇」のように叩く

まず、鶏むね肉を観音開きにします。
厚みのある部分に包丁を入れ、左右に開いて全体の厚さを均一にします。

次に、ラップをかぶせて麺棒で叩きます。
ここが最大のポイントです。
遠慮はいりません。鶏むね肉の繊維が壊れてペラペラになるまで、徹底的に叩いてください。
目標は厚さ5mm、大きさは元の2倍です。
鶏むね肉を麺棒で叩くことは、単にサイズを大きくするだけでなく、繊維を破壊して驚くほど柔らかい食感を生むための必須工程です。

手順2:下味をつけて漬け込む

叩いた肉をポリ袋に入れ、【A】の調味料を加えてよく揉み込みます。
冷蔵庫で30分ほど寝かせましょう。
この時、五香粉をしっかり効かせるのが台湾風です。

手順3:W衣システムで衣をつける

ここからが食感の勝負所です。
まず、【C】の白玉粉をポリ袋に入れ、麺棒や瓶の底でゴリゴリと押し潰して粗く砕きます。
粒が半分くらい砕ければOKです。そこに片栗粉を加えて混ぜておきます。

肉の水気を軽く切り、【B】のバッター液を全体に絡めます。
そして、先ほどの特製ザクザク衣をたっぷりとまぶします。

ここで最も重要なルールをお伝えします。
衣をつけたら、絶対にすぐ揚げないでください。
バッター液と粉をなじませるために、必ず10分間放置します。
この「待ち時間」が、衣剥がれを防ぎ、粉が水分を吸ってガリガリに変化するための魔法の時間となります。

手順4:フライパンで揚げ焼きにする

フライパンに深さ2cmほどの油を入れ、170℃に熱します。
肉を広げて入れ、片面3〜4分ずつ、こんがりときつね色になるまで揚げ焼きにします。
肉を薄く叩いているため、火の通りが早く、生焼けの心配もありません。

仕上げの魔法「追いスパイス」と美味しく食べるコツ

揚がったダージーパイを網に上げ、油を切ります。
この時点でも十分に美味しいですが、さらに現地の味に近づけるためのテクニックがあります。
それが「追いスパイス」です。

五香粉(ウーシャンフェン)は、加熱すると香りが飛びやすい性質があります。
そのため、下味だけでなく、揚げたてのアツアツの衣の上から、さらに五香粉と塩コショウ(分量外)を振ってください。
熱気と共にスパイスの香りが立ち上り、目を閉じればそこはもう台北の士林夜市です。

辛いのがお好きな方は、チリパウダー(カイエンペッパー)を振るのもおすすめです。
このスパイシーで巨大なチキンは、冷たいビールとの相性が最高です。
ぜひ、豪快にかぶりついてください。

よくある質問(FAQ)

読者の皆様からよくいただく質問にお答えします。

Q. 五香粉がないと作れませんか?
A. 五香粉がなくても作れますが、あの独特の「台湾の香り」は五香粉によるものです。もし苦手でなければ、ぜひスーパーの中華調味料売り場で探してみてください。どうしてもない場合は、カレー粉やオールスパイスで代用すると、また違った美味しさが楽しめます。

Q. 白玉粉の代わりにコーンスターチは使えますか?
A. コーンスターチでもカリッとはしますが、食感が軽く、スナック菓子のようになりがちです。あの「ガリガリ」「ザクザク」としたハードな食感を出すには、やはり白玉粉の粘りと硬さが最適です。

Q. 揚げてから時間が経つとベチャッとしませんか?
A. 今回ご紹介した白玉粉の衣は、冷めてもカリカリ感が持続しやすいのが特徴です。もし冷めてしまった場合は、オーブントースターで2〜3分温め直すと、揚げたての食感が復活します。

まとめ

いかがでしたか?
「専用の粉がないと無理」だと思っていたダージーパイも、身近な材料の組み合わせと、ちょっとした科学の知識で完全に再現できます。

  1. 白玉粉を粗く砕いて、地瓜粉の食感を再現する。
  2. 鶏むね肉を徹底的に叩いて、柔らかさと巨大さを出す。
  3. W衣でなじませて、衣剥がれを防ぐ。

この3つのポイントさえ押さえれば、今週末の食卓は台湾夜市に早変わりです。
ぜひ、顔より大きいダージーパイとビールを用意して、おうち台湾旅行を楽しんでくださいね!


参考文献

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